「おいしい」と、それだけじゃない何か

日本食品総合研究所 シェフ
池田亮太

池田シェフ

– 商品開発にあたり意識したこと、大切にしたことを教えてください。
素材や原料を選ぶうえでは、普通に食べておいしいこと。まずおいしいかどうかが一番重要でした。いくら環境に配慮しているとか、無農薬で栽培していますといわれても、そのものがおいしくなければ意味がないと思います。「なぜおいしいのか?」という理由を自分なりに探っていきながら、作られた背景を知り、納得できるものを選ぶようにしています。次に、単においしいものを作るだけじゃなくて、日本食品総合研究所のミッションでもある食を通じた課題解決の可能性といったものに繋げていけるのが理想ですね。
 
– 印象に残っているエピソードはありますか?
僕はもともとフランス料理のレストランでシェフをしていたのですが、今回のように商品として販売するものを手がけるのは、初めての経験でした。消費者目線でいうと、レトルト食品ってすごく便利じゃないですか。手軽に食べられるぶん、製造プロセスも簡単なんじゃないかなんて安易に思ってしまっていたんですけど、全然そんなことはなくて。お店で提供する料理とは分量や配合もまったく違うので、想像していた以上に難しくて、試行錯誤を重ねました。何度も見直してようやくできあがったこの商品は、自分でも納得がいくものになったと思います。
スープには主に、規格外の野菜を使っています。形がいびつだったり不揃いだったりするだけで、味には何も影響ないですからね。その中でも特に、信念を持って取り組まれている方が作ったものを使わせていただきたいと思いました。丹精込めて作られた野菜を無駄にすることなく加工品として流通できるようになれば、農家さんにとってもお客さんにとっても、きっと良い循環が生まれるのではないでしょうか。

– 商品を考えるうえでこだわったところ、池田さんならではの「テイスト」は?
スープというラインアップで商品を企画したのは、小さいお子さんからお年寄りまで、幅広い層の方に召し上がっていただけると思ったからです。ポタージュやチャウダー、ミネストローネといったスープでも、昆布と鰹の出汁を使うことで日本人にも馴染みのあるような味わいのスープに仕上がっています。いずれも出汁は、効かせるというよりも奥の方に感じるようなイメージです。
たとえば「アールグレイ香る 淡路島玉ねぎと熟成芋のポタージュ」は、淡路島産の玉ねぎと熟成したメークインを使用した、シンプルながらも奥深い味わいのポタージュです。芋は熟成させることでデンプンが糖化して、すごく甘みが増すんですよ。どちらも僕の大好きな食材なので、それらをかけ合わせてみたいと思ったんです。
 
– 今後新たに考えている商品やチャレンジしたいことはありますか。
規格外の野菜をおいしく活用するという意味では、ドレッシングなどを考えています。もっと先のことでいえば、食肉の加工などもやっていきたい気持ちがあります。ブライベートブランドの「Essentials」シリーズは、多くの方がより気軽に普段使いしやすい商品を揃えていますが、今後はちょっと攻めた感じのもの、ある意味好き嫌いが分かれるような、コアな方にファンになっていただけるような商品も企画していきたいですね。

– 最後にメッセージをお願いします。
Tide&Tasteでは今後もいろいろな商品が続々と登場するので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。ご自身が選んで手に取っていただいた商品とともに、背景にあるストーリーを一緒に味わっていただくことで、「おいしい」だけじゃない何かに出会えると思っています。

 

Product
Essentials:池田亮太(日本食品総合研究所)がつくる「スープ」

スープ


オーツミルクとあさりのクラムチャウダー 734円
昆布鰹出汁のミネストローネ 734円
アールグレイ香る 淡路島玉ねぎと熟成芋のポタージュ 734円
雪下人参とセロリラブのポタージュ 734円

 

Profile
池田亮太 Ryota Ikeda
日本食品総合研究所 シェフ
 
1985年、東京都生まれ。都内有名フレンチ店での経験を積んだのち、2024年、代官山「日本食品総合研究所」のシェフに就任。2016年・2021年には日本最大級の料理人コンペティションRED U-35にてブロンズエッグを受賞。

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